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妻の耳鳴りについての解説

 

 

私の妻は、耳鳴りを2回発症しています。
耳鳴り闘病記と、妻の耳鳴りの治り方については、以下の記事をお読みください。

 

 

 

本記事は、妻の耳鳴りを治療した私(まごころ治療院院長)による解説になります。

 

 

1回目の耳鳴りは軽症

1回目の耳鳴りは、3男を出産した直後に起こりました。
この時の耳鳴りは軽度で、音もそれほど大きくはありませんでした。

 

不安感もなく、耳鳴りの辛さを感じることなく、普段通りの生活を送れていました。
妻は「ああ、なんか鳴ってるなー、という程度だった」と話しています。

 

 

私は、首を何度か軽くマッサージしただけで耳鳴りが治まったことから、
「耳鳴りは首を揉めば治るのか。そんなに難しい病気ではないな」と、当時は軽く考えていました。

 

 

2回目は重症

それから3年後に、2回目の耳鳴りを発症しました。長女出産の後です。

 

この時は腎盂炎も発症してしまい、体調はかなり悪い状態でした。耳鳴りも、1回目の時とは比べ物にならないくらい酷かったです。

 

 

その時の耳鳴りの状態を妻に聞きました。

「ジェット機の爆音のように凄い轟音だった」

 

「耳鳴りのせいで、生まれたばかりの娘の泣き声さえも辛かった」

「子供たちの声とテレビの音が合わさるのが、すごくきつかった」

「会話がほとんど聞こえなかったから、適当に相づちをうってた」

 

「聞こえづらいので聞き返すと、強い口調で言われる」

 

「耳鳴りの辛さを分かってもらえないのが、悲しかった」

 

 

私が行った耳鳴りの治療法

1回目の耳鳴りと同じように、すぐに治るだろうと高を括っていたのですが、それは大きな間違いでした。

 

 

当時の私のマッサージ技術ではほぐせなかった

首を何時間もかけてマッサージしましたが、非常に硬くこわばっており、なかなかほぐすことができませんでした。
当然ながら、耳鳴りにも変化はありません。

 

背中や肩など、全身を丁寧にマッサージしても効果は見られませんでした。
当時の私の治療技術では、妻の耳鳴りを改善させることはできなかったのです。

 

※現在では、耳鳴りの治療法を完成させることができています。

 

 

今回の耳鳴りは普通ではない

「1回目の耳鳴りの時とは全然違うぞ」とようやく気づいた私は、色々と調べました。

ところが、当時は耳鳴りに関しての情報は少なく、耳鳴りの治し方について説明してある書籍は西洋医学、東洋医学ともに見つけることはできませんでした。

 

ですが私も妻も、2人ともセラピストですので、
「耳鳴りの治療法がないのなら、自分たちで見つけよう!」
と思い立ち、耳鳴りの治し方を探すことにしました。

試行錯誤の日々は続きます。
そんな時、

 

 

首が1ミリも動かせない・・・!

とにかく妻の首はガチガチになっていて、マッサージでは太刀打ちできない状態でした。

ある夜、寝ているときでした。


隣の妻がウンウン唸っているのに気づき、目を覚ましました。

私「どうした?」

 

妻「首がすごく痛い。1ミリも動かせない・・・!」
と言い、息をするのも辛そうに、ポロポロと涙をこぼしています。

 

妻の首を触ってみると、パンパンに腫れ上がって、カチカチに固まっていました。
今までの治療経験の中でも、出会ったことのないくらいひどいものです。

 

しいて挙げるなら、肉離れでパンパンになった状態に似ていました。
ですが妻の場合は、一部分ではなく、前も後も横も、首全体がカチカチになっていたのです。

 

そのような腫れあがった状態の筋肉は、揉んでしまうとかえって痛みが出てしまいます。
ですので、筋膜を少しずつ伸ばすようにしてマッサージしました。
1~2時間くらいかけて、なんとか落ち着かせることができました。

 

 

普通のマッサージでは難しい

当時私が行っていた一般的なマッサージでは、妻の首のこわばりをほぐすのは困難であることが、はっきりと分かる出来事でした。

 

 

2回目の耳鳴りの際も、腫れあがっていた時ほどではないものの、妻の首はガチガチに固まっており、やはり簡単にはほぐれませんでした。


特に、喉にある胸鎖乳突筋が著しく緊張していました。

 

 

 

※胸鎖乳突筋は歯を食いしばることで固くなります。
耳の近くに付いていますので、耳鳴りとも関係が深い筋肉です。
いずれ、別記事で解説したいと思います。

 

妻は力を入れようと思って緊張していたわけではありません。
それでは、なにが首の筋肉を固くさせてしまっているのでしょうか?

 

 

原因は、自律神経にあった

調べた結果、その原因は自律神経にあることが分かりました。
全身をコントロールしている自律神経の緊張が高まってしまった結果、首の筋肉が極度に固まってしまったのです。

 

最近では自律神経の治療法は色々と出てきていますが、15年前は、今ほどメジャーなものではありませんでした。

色々と探しましたが、その中で私が見つけたのが、「自律訓練法」というものでした。


自律訓練法とは、一部の精神科でも使用されている療法で、一種の自己催眠です。
段階的にリラックスする暗示をかけることで、自律神経の緊張の緩和を狙います。

 

 

自律訓練法で寝てしまった!

最初私は、
「体に触れもしないのに、緩ませるなんてできるのだろうか?」


と半信半疑でしたが、実際に試してみたら、確かな効果がありました。
(自律訓練法は自分でもできますが、術者に誘導してもらうとよりスムーズにリラックスできます)

 

体の力が抜けていくように、私が声で誘導していきます。
「体の力が抜けていくー」

 

すると、軽く握っていた妻の手のひらの力が抜け、手が開いていきます。
なおも続けていくと、呼吸が深くなり、眉間の力も抜けていきます。

 

15分くらい続けたあたりでしょうか。
妻の穏やか寝息が聞こえ、眠ってしまったのが分かりました。

 

私は驚きました。
緊張が強い状態の妻は、マッサージをしても寝てしまうことはなかったからです。


それどころか、昼寝もしたことがありませんでした。
本人曰く、「昼寝をすると気持ち悪くなるから」とのことです。
※耳鳴りで緊張が強い人は、昼寝ができない人が多いです。これもいつか記事にしたいです。

 

30分ほど経って目を覚ました妻に感想を聞いてみると、
「なんだか体の力が抜けていって、いつの間にか寝てしまった。少し昼寝をしてしまったけれども、気持ち悪さはなく、良い感じ」
とのことでした。

 

 

自律訓練法の後のマッサージは・・・

自律訓練法を行ったあとにマッサージをしたところ、これまで全くほぐせなかった首の硬いコリが、驚くほど緩み始めたのです。

完全ではありませんが、表層の筋緊張を緩めることができるようになりました。

 

この変化には本当に驚かされました。まさにカルチャーショックでした。
「筋肉は揉めばほぐれるもの」と信じていた私の浅はかな考えが、見事に打ち砕かれた瞬間でした。

 

筋肉は、自律神経の支配を強く受けている――
その事実を、心から納得することができたのです。

 

 

自律訓練法の素晴らしさを実感した私は、毎日のように妻に施術を続けました。
すると回を重ねるごとに、筋肉の緊張がゆるみ、首もほぐれるようになり、
夜の眠りも徐々に深くなっていきました。

 

 

1週間続けたら、耳鳴りに変化が出てきた

自律訓練法+マッサージを1週間ほど続けた辺りから、耳鳴りにも変化が出てきました。
ジェット機の爆音のような音が、換気扇の「ゴーッ」という程度にまで穏やかになったのです。

 

これはとても嬉しかったですね。
耳鳴りが小さくなって会話がしやすくなりましたし、何よりも首肩の強いコリが和らぎ、顔色がずいぶん良くなりました。

 

 

1か月続けたら、睡眠の質が改善した

1ヶ月も続けると、睡眠の質が深くなっていきました。
まだ授乳中だったので、まとめては寝れませんでしたが、ぐっすり眠れる時間が少しずつ増えていきました。

 

睡眠の質は非常に大事です。
寝ているときに、体は治ります。

 

睡眠の質が改善してきたことで、妻は目に見えて元気になってきました。
気力と体力が戻り、笑顔が増えました。


やはり、女性は偉大ですね。
お母さんが元気になれば、家庭も明るくなります。

 

もちろん、眠れるようになったこの頃から、耳鳴りの音はまた一段階下がりました。
「ジー」という程度にまで穏やかになり、耳鳴りを忘れる時間が出てきました。

 

 

3か月続けたら、耳鳴りは気にならなくなった

自律訓練法+マッサージは非常に効果が高かったので、3ヶ月程度まで続けました。
ただし毎晩、両方をやるのは難しかったので、片方だけの日も多かったです。


それでも、マッサージだけはなるべく毎晩やるようにしていました。
(眠りながら揉んでいる日も多かったですが・・・)

 

自律訓練法もこの頃には形ができてきたので、CDに吹き込んで、それを聴いてもらったりもしました。

 

3ヶ月も経ったので腎盂炎も治り、妻は元気よく日々を過ごせるようになりました。
耳鳴りの様子を尋ねると、忘れている日がずいぶん増えました。

 

4人の子育てをしながら治療院の仕事もしてもらっていたので、耳鳴りどころではなかったと本人は言っています。

当院の耳鳴りの患者さんたちも、だいたい3~4か月頃で耳鳴りが楽になる人が多いです。

 

自律神経の緊張が緩み→睡眠の質が深くなり→気力体力が回復し→耳鳴りが楽になるという流れで耳鳴りが改善するパターンが多いです。

 

 

耳鳴りがいつ治ったのか、正確な日は分からない?

 

妻の耳鳴りがいつ完治したのかというと、実はよく分かりません(笑)
この10年以上、耳鳴りは再発していないので、完治したのは確かなのですが、完治したその日を特定することはちょっと難しいです。

 

というのも、よく眠れるようになって耳鳴りが楽になると、耳鳴りの存在自体を忘れてしまうからです。
耳鳴りに強く執着していない限り、意識は日々の生活に向かいます。
家族や仕事の方が大事ですよね!

 

たまに私が思い出して、耳鳴りの様子を聞くと、妻は耳をすませるような仕草をして、
「うーん・・・してない、かな?」
と微妙な感じの答えが返ってきました。

 

もうその頃になると、耳鳴りの音は小さくなっているので、聞き取りにくいのですね。
それでも音の小さな波は続いていました。

 

そうして1年半も経った頃に耳鳴りの様子を聞いたときは、
「もうずいぶんしばらく、耳鳴りの音はしてないと思う」
とのことでした。

 

 

まとめ

妻の耳鳴りは重症な部類で、最初は治す方法が見つかりませんでした。

ですが、自律神経の重要性に気づくことができ、自律訓練法とマッサージを組み合わせることで突破口を開くことができました。

 

そうなんです。
耳鳴りは耳の病気ではありますが、耳だけの病気ではありません。
完全に治すためには、根本から治すことが必要です。

 

耳鳴りを治すためには、頭や首の筋肉を徹底的に緩める必要があります。
簡単に緩められる人ならば問題ないですが、私の妻の2回目の耳鳴りの時のように、自律神経へのアプローチが必要な場合があります。

 

そして、重症な耳鳴りの人ほど、自律神経は重要です。

数多くの患者さんを治療させてもらっているお陰で、現在では私の耳鳴り治療はだいぶ進化しました。


単なる普通のマッサージだったのが、気功マッサージにバージョンアップしました。
今では、カチカチのコリもほぐすことができるようになりました。

 

そして、自律神経の中枢へのアプローチ法が分かり、より効率よく緊張を緩めることができます。

さらに、どこに行っても治らなかった患者さんの治療効果も上がっています。


どこに行っても良くならなかったということは、体だけのアプローチでは不十分だったということです。

そういった患者さんは、心、特に潜在意識の緊張を解消することで、劇的に改善します。
※耳鳴りと潜在意識との関係についても、いつか記事にしたいです。

 

つまり、耳鳴りは原因不明の病気ではないということです。
治す方法は必ずあります。

 

5000人以上の耳鳴りの人を治療してきましたので、耳鳴りに対するノウハウはたくさん蓄積しています。
耳鳴りでお困りの人がいましたら、ぜひご相談ください。

コメント欄に書いていただけたら、お答えいたします。


耳鳴りにまつわる誤解は多くあり、注意が必要です。
正しい耳鳴りの治し方を知ることで、だいぶ楽になりますよ。

 

 

最後に、妻に行った自律訓練法は、CDにしています。
YouTubeで6分ほど聴くことができます。
よく誤解されてしまいますが、こちらはBGMではなく、誘導音声になります。

お役に立てたら幸いです。